2015年12月20日日曜日

北星余市を一言でいうと、「スタートライン」
北星学園余市高等学校 井上将大(高3)さんのインタビュー

 
今日はインタビューきてくれて、ありがとう。早速なんだけど、北星余市にはなんできたの?

井上 今回北星余市にきたのが2回目、前に1回入学しています。前回きたときは1年生の10月頃に中退しちゃいました。そこからずっと仕事をしていました。雇用形態がバイトで不安定でした。加えて、自分は飽きっぽくて、すぐに半年から1年ぐらい経ったら仕事を変えてたんです。なんとなく落ち着かないなと思って、ちゃんと就職しないといけないかなと思ったときに、求人とかみるじゃないですか。そうしたら、資格の欄に高卒以上という項目が大抵入っていて、それを見て「ああ、やっぱり高校卒業しないと」と思った。今までの自分の行いにけじめをつけないといけないと思って、いったん高校をやりきりたいと思った。なので、21歳のとき、もう一度入学しました。

入試の面接のとき「友達をつくるつもりはない」とはっきり話しました。前回の北星生活のとき、暴れちゃったりというのもあったんで、それでやめたらまずいと思ったから。1ヶ月ぐらいは誰とも関わろうともしなかった。後から知ったんですけど、周りも年が離れていて、話しづらかったらしいです、笑。入学して1ヶ月後ぐらいに、1年生研修っていう合宿みたいのがあって、そのときに生徒会長が話しかけてくれて、そこから他の1年生たちと話すようになっていった。そのときの誘いかけがなかったら、そのままだったんじゃないかなと思います。


大変だった時もあった?

井上 1年生のときに謹慎にも入りました。夏休み中に髪を切って余市に戻ったんですが、その髪型について馬鹿にしてきてやつがいて。最初気にしていなかったんですけど、何回もしつこく言ってきたんです。何回か「おまえ、やめろよ」「いい加減にしろよ」って警告したんですけど、それでもしつこいもんで、頭来て手を出してしまった。無期の謹慎に入ってしまいましたね。

そんなこともあったんだね。実はマサくんたちが執行部として取り仕切っている一年研修を今年5月見に行っているんだよね、僕。で、そのときにすごくサポート役をやっているなって印象があって、「優しい人だな」と思っていたんだけど、今は自分のことをどう思う?

前は自分の意見をとにかく通そうとしていたし、自分でも「言えば通る」と思っていた面もありました。けど、生徒会をやったのも大きかったんだけど、意見の言えない子に対しても聞いてあげられるというか、前に比べたら自分が第三者からの視点で物事を見れるようになってきたのかなと思っています。それは同じ生徒会のメンバーから学びました。自分の意見を通すことが大切なんじゃなくて、他の人の意見を聞くのを大切だと思いながら、会長をやらせてもらいました。「あの子だったらどう思うかな」とか「この子だったら、こう考えるんじゃないかな」と思えるようになりましたね。


なるほどね、そういう変化って大きいよね。あと、楽しかったことはなんだろう?

井上 楽しかったことは・・・ないかもしれない。感動したことならたくさんあるんですけどね。昔はなにも思わなかったんですけどね。いつの頃からか、行事のたびに感動して涙が出るんですよ。僕の目から見て、普段だらしないやつもいるんですけど、行事になると自然と情熱的にやる。それを見ると感動するんです。

ちなみに、楽しかったことがないっていうのは、どちらかというと大変なことが多かったって印象があるのかもしれないですね。物事に対する意識が違うというか、行事ひとつやるにしてもめんどくさいとか、自分がよければよいとかそういう風に考える子もいるから、そういうのをまとめていくのは本当に大変でしたよ。単純に年が離れている子たちと一緒にいるのも大変だったと思う。僕は、もともと人と関わるのが得意ではなかったんですけど、今の子たちが結構ガツガツくるので、どうしたらいいのかわからないときもありました。

そうなんだね、本当によくやってきたね。これからどういう道に進むの?

就職しようと思っています。最終的な自分の目標は、居酒屋を経営したいなと思っているんです。だから、そこに向けて調理の学校にいこうと思ったんですけど、落ちてしまったんですよ。特殊調理の専門学校なんですけどね。「なんとなく大学」ってのは好きじゃないんで、お金を先に貯めようかなと思っています。だから就職。給料がいいところで働いて、自分で勉強して居酒屋を開く。地元に個人経営の居酒屋があって、アットホームな感じがすごくいいんです。「お、久しぶり!」とか言ってくれる。そんな雰囲気の店を作りたいですね。

夏休み中、千葉県の民宿で働いたんですけど、その時にお客さんと友人のように親しく話して過ごせたときに、すごく楽しいなと思いました。仕事を楽しいと思ったのは初めてかもしれない。それがすごく影響しています。そこからなんで居酒屋になったかというと、お酒飲むとみんな本音を話すじゃないですか。本音で楽しく語れる場所を提供できればなと思ったんです。とりあえず、都会は嫌。都会じゃなければ、どこでもいい、昔から馴染みのあるような店にしたいと思っています。温かい雰囲気のお店。近所の中の一部っていうか、そういう風になりたいですね。民宿で「美味しいね」といって食べてくれるのが嬉しかったんで、そういうのでやっていけたらなって思っている。


そうか、すごいね。あと、これはみんなに聞いている質問なんだけど、北星余市を一言でいうとなんだと思う?

井上 スタートラインじゃないですかね。ここにくる子たちって、全員がなにかしらのハンデというか、一般の高校の子たちに比べればマイナスな部分を大きく持っていると思うんですよ。そこでなにかしら変わりたいと思ってきていると思うんで、一から始められる、今までの自分というのはあるかもしれないけど、変われていくんだと思います。高卒がスタートラインだともいえると思いますけどね。

あと、北星余市にきてほしい人ってどんな人だと思う?


井上 迷っている人じゃないですかね。まったくもって自分がどうしたらいいのかわからないっていう人。親には迷惑かけちゃうかもしれないけど、ここにきたらいいと思いますよ。ここにきたら全国からいろんな個性を持った人がくるし、教師も全員個性があるし、そこにいったんきてみて、そしたら何か見つけられるんじゃないかなと思う。「違うな」と思ったらやめていってもよいと思うし。みつけることができたら、とてもいいことだと思いますね。
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